一足遅れて新年明けましておめでとうございます。
早速ですが、1月26日より1週間だけと短いですが、日本へ帰国する由となりました。
非常に頭の悪いスケジュールですが、到着日の午後11時より東京都は両国にて行われるRizing Sound Vol. 10にてライブ出演を予定しております。非常にタイトなスケジュールなため、どんなショウになるかは自分でも予想がつかない状態ですが、言葉通り「音」を「楽」しみたいと思っています。
できるだけかつて身近に接していたミュージシャンらとセッションする形で進めたいとは思っていますが、一体どうなるんでしょうか。
これまでにも米国ウィスコンシン州、最近では現在住んでいるニューヨーク市ブルックリン区などで、一切の練習/リハーサルなどを省いた即興演奏のステージを幾度か試みてきました(練習時間がなかっただけという説もある)。なので、せっかく帰国してのステージだけど決してコマーシャルな活動はできないであろうため、主催であるRizing Sound Production側にはどう映るかは分からなく多少なりとも不安を感じていますが、ここでもやはり文字通り「音」を「楽」しみたいと思っております。来て頂ける方はご一報頂けると幸いです。この7日間でなるべくたくさんの人と会い、話が出来ればいいな、と思っています。
さて、仕事柄話題はもっぱら米国大統領選が多いですが、ここでまたは何故か突発的に「広告」について書きたいと思います。
仕事のためではないのですが、個人的な興味で読んでみた「広告内視鏡」(日本経済新聞社)。これがまた面白かった。
70年代にビール産業界で見事なニッチ産業(aka隙間産業)により独自のポジションを築いたサッポロビール社の広告「男は黙ってサッポロビール」。
もちろん僕などは当時この世に生まれてもなかったわけだけど、この本を読んでこれは本当見事だと思った。ビール愛好家の誰もがひいきのビールブランドについての詳しい説明などできず、各ビール社としても他社製品との差別化を計ることに四苦八苦していた時代にあえて、「黙ってサッポロビール」と、ブランド力のある三船敏郎の写真を黒沢映画風のデザインに添えて打ち出した。「言葉が力を持っていた時代」などと言ってはあまりに短格的すぎるけれど、現在では類いまれに見る名文句だと思う。そう、ニーズが求めていたものは決して「ホップ100%」の宣伝文句でもなく「のどごしさわやか」などでもなかった。黙って飲めればそれでよかったということ。ビール界の核心をつき、商品説明を省いた広告時代の先手を切った。
また、同書内で語られていた事項の一つ、即売効果をもたらす「プロモーション」と、長期でのお客さんと売り手側の信頼を繋げる「アドバタイジング」の決定的な違い。このアイデアも当たり前だけど日常生活ではついわすれがちな考えだな、と感心した。
こう考えると、ヒラリー・クリントン上院議員の大統領選へ向けた多大なる宣伝活動は「アドバタイジング」ではなく立派な「プロモーション」であるが、集計で気になるのはきっと即効果を産む「プロモーション」。しかし、やはり土壇場になって気づくのはきっと、彼女のこれまでの行動をもふまえた「アドバタイジング」の絶対的な必要性であると思う。そう考えると、僕が今回出演するRizing Soundも現在フライヤーを配ってプロモーションをしているだろうけれど、今後のイベントに対する「アドバタイジング」を考えるきっかけとして考えるヒントになってくれたら、と勝手ながら思う。ヒラリー・クリントンを例に出すのが小さく思えてしまうほど、ローカルを盛り上げようとするRizing Soundのようなイベントには今後もっと多くの人に知ってもらって大きく成功してもらいたいのだ。
さて、「広告」「宣伝」という言葉にはネガティブなイメージも多くついてきてしまうこんな時代だけれど、「広告内視鏡」で著者の言う「長期でのお客さんと売り手側の信頼を繋げる『アドバタイジング』」と考えれば、それほど嫌うべきものではないな、と思える。更に、もし自分の宣伝する事物が誇れる事物で、本気で広めていきたい事物であるなら尚更、「広告や「宣伝」は忌み嫌われる物ではなく、その事物に次ぐ最重要な事項であることのように思える。それが政治活動であれ、素晴らしい新商品の開発であれ、お店の新規オープンであれ、音楽のイベントであれ、個人経営であれ大きなチェーン企業であれ、芸能人のコンサートであれ、アンダーグラウンドなアートイベントであれ、人の目に、耳に直接伝えられなければ何も意味はなくなってしまうわけだ。そこに大小の違いなんてなくって、「宣伝、広告、営業」なんていうのは、個人単位であれ企業単位であれ、どこにでも共通している重要な行為だから。
人に情報を伝達するというとても大切な役割を持つ「メディア」というのは「広告」「宣伝」を伝える大切な媒体であるけれど、中でも老舗ニューヨークタイムズ紙の自社広告などを見るといつも感心させられる。「No day is complete without The New York Times」、1940年頃の「All the News That Fits Our Agenda」よりもはその過激度は低くなったが現在もロゴ/タイトル横に毎日居座っている「All the News That's Fit to Print」というキャッチ。こんな直接ビジネスに繋がらないような小さな積み重ねが100年以上という長期のお客さんと売り手側の信頼関係を築いている。
アメリカの嫌なところも多く見たけれど、「個人単位」や「ローカル」でのプロ意識を見ると、これは日本よりも米国にはるかに軍杯の上がることの一つだなと思うし、「日本ではどうなんだろう、もっとローカルで "インディ"な文化でこういうことに真剣に取り組めないのかな」などと、いつも通りの他人任せスタイルで真剣に考えてみた。
「Rizing Sound Vol.10」
時間:11pm〜5am
場所:両国 Bootzcamp Four Valley(東京都墨田区両国4−36−6)
・JR両国駅 東口より徒歩1分
・地下鉄大江戸線 A−4出口より徒歩2分
料金:1500円
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