Monday, February 4, 2008

70%理論〜超資本主義的社会〜回文ともう一度「中国」

「ガーって号泣したり、思いのたけをぶつけたりするときも、『ちょっとそんなことしてる自分っておもしろいよな』っていうのを30%持っときたいっていうのが理想としてあるんですよ。70%本気でも30%のりしろがほしいって最近思うようになってて、文章でも『70%理論』を持ってるのが好きなんです。」





これは雑誌「広告批評」2008年1月号でインタビューに答えた芥川賞作家の川上未映子さんの言葉(表紙写真は蒼井優)。

正直現在まで彼女の著作品「乳と卵」や「in 歯』」などは一度も読んだことがないのだけれど、このインタビューは僕にとって彼女の作品を宣伝する最適な広告となった。

ここで彼女の言う「70%理論」が果たしていつでもどこでも正しいのか、と言われたら「はい」とは一概には言えないのかもしれないけれど、なるべくならば僕もこういうスタンスを常に忘れずにいたいと思う。もちろん、これが誰にとってもの正論とは言い切らないのを前提にね。

「でも楽じゃん、そうあれれば。」

そう、自分が頭を抱えて悩んだつもりのような物事なんて、ゆくゆく考えれば大抵大した問題ではないのだ。だって、これはあまりに私事な例だけれど、自分が担当している広告主の営業先と何かトチッたとしても、それが理由で誰が殺されるわけでもないしね。2001年に起きた同時テロ、ペンタゴンの爆撃だって、僕が同年8月のサマーソニックでプライマル・スクリームが演奏した「Bomb the Pentagon(改名後のタイトルはRISE)」で踊り狂ったこととは何の関係もないし。

こんなことを言ったら体育会系な人達(体育会系というのもまた曖昧な定義。定義?)の叱責を買いそうだけれど、でも事実として何かを失敗したらまずは冷静になって考えて適度な反省と一緒にその分のお返しをすれば良い。それを「30%ののりしろ部分」を踏み台にして、楽しく気持ちよいお返しを実行できれば大抵のケースは償えるし、双方共にまさに「結果オーライ」となる。

それでも面白いのが、そういうケースに限って「結果」よりも「経過」を気にする人たちが多いこと。仕事をしていると多くぶち当たるこの矛盾。「信頼」とか。いつまでもグチグチ言い続ける人も少なくはない。会社というシステムなどでは、給与のコミッション制度だとか何かと「事物を見る、理解する、判断する」作業を一切省く簡単な「結果」制で片付けるくせにね。もちろん、「じゃあ『経過オーライ』にすればいいじゃん」、などと浅薄な意見をここで主張する気もさらさらないけれど。

と、「結果」という言葉から全く関係のない話に飛んでしまったけれど、言葉というのはこの派生力が本当に面白い。
日本で言う卒論みたいなもので、大学を卒業する際に「詩集」を書いたことがあるのだけれど、「詩」は頭の中に目一杯広がる地図を言葉で派生させていくようなもの。今っぽくいえば、「クリエイティブ」?

当たり前だけれど、言葉の派生力で繋がっていく一つ一つのテーマは、文章全体の構成をひっくり返して進めても繋がる。だって「一つの言葉」を磁針に主題が引っ越していくんだから。そう、このブログのタイトルである "fake palindromes" の「Palindrome」とは、回文の意。回文というのは「前から読んでも同じように読める語句や文」です。そしてここですごく重要なのは、「fake」がついていること。そう、本名を好評していない所詮匿名のこのブログなんて行為はプロの業技ではない。更には、僕にはこの「回文理論」に真理だとか何かそういうものに帰存する意思さえ持ち合わせていないのです。だってこんなこと言いながらもこのタイトル「fake palindromes」とは、実は僕の大好きなアーティスト Andrew Bird の中でも最も好きな曲のタイトルを勝手に拝借しているなんだから。

それでも、こうやって自己発見を重ねながらそこに座っているどこかの誰かが「なるほど」と一瞬でも「考える」ことをしてくれれば、

「結果オーライでしょう?ここは資本主義世の中ですよ?結果が良ければすべて良いでしょう、それがフェイクだとしてもさ。」

だから悲運にも「フェイク」や「偽装」といったタームでしか日本のメディアは紹介しない「中国」の僕的再評価が高いわけですよ!

それではあまりに格好良すぎる天才アンドリュー・バード氏の写真をいくつかどうぞ。








蒼井優もかわいいけど、彼もやっぱり超かっけーね。
ヴァイオリンの音と泣きメロ、味の素よりも強力なリリックを携えたアンドリュー・バードのミラクル・アヴァン・ポップ・ワールドに興味のある方は、まずはアルバム「THE MYSTERIOUS PRODUCTION OF EGGS」からがおススメです。
4曲目が「FAKE PALINDROMES」です。ぜひ泣いて踊ってみて。

"Jesus, don't you know that you could've died! should've died with the monsters that talk, monsters that walk the earth!!!"
ー「Fake Palindromes」より。



*写真はもちろんすべてグーグル・イメージより勝手に拝借、sucker.

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